SNS等の誹謗中傷の削除依頼手引きが公表される

法務省は、2026年3月に「SNS等の誹謗中傷の削除依頼手引き」(https://www.moj.go.jp/content/001458241.pdf)を作成し公表しました。
これは、X(旧Twitter)など主要12のプラットフォームごとに、被害者自身が削除申請を行う具体的手順を整理したものです。
以下で、重要なポイントを「全体構造」と「各プラットフォーム別の特徴」に分けて説明します。
 

第1 手引きの全体構造

この手引きは単なるリンク集ではなく、削除依頼の実務手順を標準化しています。
 

■ 基本の流れ(どのサービスでも共通)

1. 問題投稿の特定
○URLを正確に取得(証拠保存が前提)
2. 通報フォームにアクセス
3. 権利侵害の内容を具体的に記載
○名誉毀損、プライバシー侵害など
4. 本人確認資料の提出(必要な場合)
5. 運営側の審査 → 削除判断

👉 特に重要なのは

  • 「どの権利が侵害されたか」
  • 「なぜ違法か(事実・評価低下など)」

を具体的に書くことです。
 

第2 手引きの特徴

今回の手引きのポイントは、以下の通りです。

■ プラットフォーム別に個別解説
→ 従来は「一般論」でしたが、今回はプラットフォームごとに具体手順を説明しています。
■ 被害者本人が直接できるように用意されています
→ 弁護士を介さずに「まず自分で削除申請」を前提
■ フォーム入力例まで提示
→ いわゆる「申立理由の書き方」も具体化しています。
 

第3 対象となる12プラットフォーム

代表例は以下のものです。

運営事業者 サービス名
米グーグル グーグル検索、YouTube
LINEヤフー ヤフー知恵袋
米メタ インスタグラム、フェイスブック
TikTok(ティックトック) TikTok
X(旧ツイッター) X
ドワンゴ ニコニコ動画
サイバーエージェント Ameba(アメーバ)ブログ
湘南西武ホーム 爆サイ.com
米Pinterest(ピンタレスト) Pinterest
Loki Technology(ロキ・テクノロジー) 5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)


 

第4 プラットフォーム別のポイント

プラットフォーム別のポイントは以下の通りです

■ X(旧Twitter)

  • 「報告フォーム」から申請
  • カテゴリ選択が重要(名誉毀損等)
  • URL単位で削除申請

👉 特徴
投稿単位で細かく記載する必要がある。

■ Google(検索・口コミ)

  • 専用削除フォームあり
  • 法律違反の理由を詳細に記載する必要がある。

👉 特徴
「検索結果」か「レビュー」かで窓口が違う。

■ Instagram / Facebook(Meta系)

  • アカウント単位 or 投稿単位で記載する必要がある。
  • なりすまし・嫌がらせなどカテゴリを選択する

👉 特徴
コミュニティガイドラインに対する違反がベースとなっている。

■ YouTube

  • 著作権侵害と名誉毀損で窓口が異なる。
  • 動画URL+該当箇所の特定が必要となる。

👉 特徴
動画の「どの部分か」まで指定が必要

■ TikTok

  • 通報フォーム+本人確認書類要求あり

👉 特徴
本人確認が比較的厳格

掲示板系(5ch等)

  • 削除ガイドラインに基づき申請する。
  • メールや専用フォームを利用する

👉 特徴
法的違法性より「運営基準」重視の傾向がある。
 

第5 手引きが前提としている法的整理

手引きでは、権利侵害の内容を以下の類型で想定しています。

  • 名誉毀損(刑法230条・民法709条)
  • プライバシー侵害
  • 侮辱
  • 個人情報公開