グーグルに対する検索結果削除仮処分命令の申し立てが認められる
当職らが、令和7年2月14日付で申し立てを行った「グーグルに対する検索結果削除仮処分命令の申立て」に関し、東京地裁は、これを認容し、その検索サービスにおいて、収集元URLに関連して表示される情報(表題、URL及び抜粋、以下、「URL等情報」という。)を検索結果の表示から削除するように命令をしたものです。
グーグルなどの検索事業者は、これまで、名誉毀損等に関する違法性判断の対象となるのは、URL等情報であり、リンク先WEBページが違法な内容を含むことを理由として、URL等情報が違法になるのではないという主張を行ってきておりました。裁判所もこの主張をいれて、リンク先WEBページが違法な内容を含んでいても、検索結果として表示されるURL等情報が違法な内容を含まない限り、検索結果の削除は認められないとする裁判例が多数を占めていました。
しかしながら、最高裁決定(最三決平成29年1月31日)は、プライバシー侵害に係る事案に関し、リンク先WEBページがプライバシー侵害を内容とするものであれば、URL等情報の表示が違法になるとの判断を示しました。そして、この最高裁決定を受けて、名誉棄損の場合においても、同様の判断を示したものが、今回の決定です。
今回の仮処分決定の事案では、リンク先WEBサイトにおいて、申立人の名誉を著しく毀損する虚偽の事実が掲載されていたものですが、申立人の氏名を検索キーワードとしてグーグル検索を行った際に表示されるURL等情報には、そのような違法な内容を含まないとしても、当該URL等情報を削除する(表示されないようにする)ことを命令したものです。
グーグル検索がきわめて多数の人々に利用者されている現状を前提にしたとき、検索結果に表示されることによって、当該名誉毀損の内容がきわめて広範囲の人々に流布される結果を生じさせていましたので、検索結果の削除が認められることによってそうした被害を防止できることになりますから、非常に重要な決定であると評価できます。